このブログについて


バラの栽培についての考え方や方法は多様です。その多様性こそが、バラが文化として豊かであることの証左なのでしょう。
"答え"は一つではないとすれば、バラ栽培の楽しさは、"自分のバラの世界を見つけ出す" その過程にあると思っています。

このブログは試行錯誤中のバラ栽培の記録です。一部の記事はバラ仲間に私の方法を紹介するために書いたものもありますが、
「栽培ガイド」の類ではありません。バラ栽培を始めた頃に書いた記事の内容は現在の栽培方法とは異なるものも多く、
技術的にも拙くて誤謬も多々含まれていると思われます。批評的に読んでくださるようお願いします。

2016年12月22日木曜日

実生台木を作る ー3 ゴンベエさんは春から熱中症

「実生台木を作る ー2 ゴンベエさんの種まき」の発芽を確認したのは2月22日でした。

今年は手作りのハウスが完成し、バラジャムを作るためのバラや接ぎ木した幼苗などはそこで育てたのですが、ハウスの中は4月から真夏並みの気温で、晴れた日の午前9時半過ぎには38℃を超える状態。

1時間半程かかって、200株はあろうかという鉢に水やりを終える頃にはもう慢性的な熱中症。早朝から取りかかればいいのだけれど、朝は(毎日ではないが)8時から別の場所でバラの管理作業があるのでムリ。昼前にはヘロヘロになって、午後に畑に出る体力も気力もありませんでした。

育っていく実生苗を横目で見ながら、良い台木を作るために最も重要な「移植」ができないまま。旺盛に茂る雑草に覆われて夏が過ぎ、秋も終わってついに接ぎ木シーズンを迎えてしまいました。

発芽率を「咲いただけバラ園の 芽吹きの春」の4月1日の記事でレポートしていますが、発芽数は281本。600粒蒔いたので発芽率は46%でした。

播種は5cm間隔で列間は10cm。発芽率が低かったからか、雑草に負けて枯れることはさほどありませんでした。しかし、当然ながら成長もしていません。

数は少ないものの、かろうじて台木として使えるサイズ=接ぎ木する部分の直径1cm程度に太ったものもあります。「胴長美人」に育てるには移植時に浅植えするのがコツなんですが、播種時に籾殻燻炭で分厚くマルチングした効果か、なんとか台木として使える程度の胴長にはなっているようです。

1月8日追記:下左は胴の直径が8mmと細いのですが、接ぐ穂木も細ければ形成層が両側とも合致して意外に気持ちよく作業ができました。

しかし、やはり移植無しの放任では「良苗率」は落ちます。写真下左は「腰曲がり」です。プロが作った台木でもたまに見かけることがありますが、なぜ曲がってしまうのか原因がよくわかりません。これは接ぎ木する部分に「太さ」があれば、かろうじて使えるかも。

問題は写真下右・手前側の細い台木。太さは5mm以下で、このような生育不良が全体の60%以上もあります。これの原因は「移植」しなかったことで適当な株間が確保できなかったことと、雑草の影響だと思います。施肥量も不足だったのでしょう。

このような結果になってしまったので、致し方なく今シーズン用の台木はバラ苗生産農家に注文しました。これらの自作の不揃いの苗はいったん全部を掘り上げて、細くて使えないものは植え直す予定です。もしかしたら、それらは来年秋の「芽接ぎ」用台木に育つかもと期待して。


懲りないゴンベエさん

去年と同じ株ですが、12月11日にローズヒップを採取しました。1ヶ月程前から鳥除けのネットを被せて、完熟するのを待っていました。

写真下右:11月24日。右はまだ赤みが薄くやや未熟。
写真左:12月11日。採取日

実は、陽当たりのいい元気な枝に着いたものがやはり大きくてきれいです。これだけでも私には必要な量のタネが確保できますが、昨年と較べると今年の出来は良くありません。母木が古くなりつつあるのかも。

採取したローズヒップはビニール袋に入れ、冷蔵庫で保管中。袋の中を加湿する必要はありません。水分過剰で表皮にカビが生えたことがありました。

毎年同じようなことを繰り返し、まさに遅々たる歩みですが、自分に合った台木(栽培方法)を探す右往左往は今後も続きます。来年は同じ言訳をせずに済むように、自分のバラ環境を大きく変える準備を進めています。

バラ苗生産農家から分けてもらった台木はお世辞にもいい出来とは言えず、けっきょくゴンベエさんの台木から育ちの良かったものを選んで切接ぎをしました。
接木作業をしながら、「台木は自分で作るべき」と、反省を込めて再認識しました。熱中症でヘロヘロになっていた頃のゴンベエさんには『自作の台木がダメだったら購入すればいい』という甘えがありました。



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